せんぱいはあかいいとってしんじます?
 一瞬、何を言ってるのかが分からなかった。
 赤い糸だと? 所謂運命の相手とか言うやつと赤い糸で繋がっているとかいう迷信か?
 頭の中で返す言葉がぐるぐる回る俺を余所に、べらべらと喋りだす。
「俺はね、あると思うんスよ。だってさ、ほら、俺と先輩が会えた……っていうか、生み出された? っていうのって、すごい運命だと思うんスよねー。もしかしたらどっちかがDRNかもしれないじゃないスか。なのに、二人ともDWNって、どんだけ低い確率なんスか。これ、本当にあるとしか思えませんって。」
 そうそう、それに。相手は続ける。
「赤い糸のお陰で、俺は先輩以外は好きになんねえし、先輩は俺以外好きになんないでショ? これがすごい幸せなんスよねー。」
 ジトリ。俺を見る目は、その赤い糸とやら以上に赤いんじゃないかと、本気で思った。





(逃げる事などできない)





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