せーんーぱーいー
 声にしてそっと叫ぶ。そっと叫ぶってのも変な表現だけど、本当にそんな感じ。掠れた様な声で、思いっきり。
「……何だよ。」
 つっけんどんなその一言には、もう呆れが、それはそれは滲み出ていた。本当に先輩は俺の事好きなんだろうかって、少し心配になるくらい。でも良いや。俺は先輩が大好きだから。
 こちらに振り返りそうな先輩を、ぎゅっと後ろから抱きしめる。不意にしたから、ぐえっと色気のない声が聞こえる。もうちょっと色っぽい声出せないんスかせんぱーい。そう言ったって、無理であろう事は分かっているから、まあ、あまり返事に期待しない。したって無駄だし。
「好きですよー。」
 軽く流すように言えば、ほら、顔が真っ赤!!





(「おま……!!」「だって好きなんスもーん。」)





H22.1.20