朝起きると、目の前になぜか見覚えのある赤い機体が視界いっぱいに広がる。
 そしてきつく抱き締められていることに気付き、ぺちぺちと相手を叩く。
 それでも起きないので、少し強く叩く。
 尚も起きないので、最終手段とばかりにシャドーブレードを出せば、ようやく起きた。
 だが、まあ、ついでだ。殴っといた。
「おはよう。何か食うか?」
 痛そうに頭をさすりながら聞いてくるが、生憎空腹など感じていなかったので首を横に振る。
 相手はさして気にする風でもなく、またぶほんと後ろに倒れた。
「……ここ俺のベッドなんだが。」
「良いじゃねえか。固いこと言うなって。」
 あーなあところでさ。
 早く言えば良いのにと思いながら本題に入るのを待つ。
「今度の日曜、空いてる? あ、月曜も。」
「? 多分空いてると思うけど?」
 じゃあさ、と言ってこちらに向き直る。
 屈託のない笑顔を浮かべてるその顔に少しだけ見惚れてしまった。
 だからか、次にこいつの言った言葉に、溜息を吐きながらも結局了承してしまうのだった。





(「デートしようぜ!! 泊まりがけで!!」「……本気か?」「全然本気!!」「(日本語変だ!!)」)





H22.2.21