そっと手を伸ばして、本来であれば手が付いてあるはずの部分に付いているドリルを、極力優しく撫でる。
 案の定、細やかな傷がいくつもできていくが、気にする余裕などない。
 ぼろぼろと零れている涙を傷の付いた手でそっと拭う。
 自分より二つも年上なのに、そんな事は忘れてしまいそうな程幼い兄を抱き締める。
 決して相手からは抱き締めてこない。
 か細い声で囁かれた言葉に、言い様のない愛しさを覚えた。





(そんな事はどうだって良い!!)





H22.2.25