最後に笑ってた話題はなんだっけ。
 急に訪れた別れを受け入れられていない頭でぼんやりと考える。
 家族の話だったか、それとも好きな本についてだったか。
 何でもない、他愛もない事でさえ楽しかった日々は、今の俺には眩しすぎて。
 窓を打つ雨に、洗濯物が濡れてしまうじゃないかと思う、どこか冷静な部分がある事に自分でも驚く。
 懐かしい口笛はもう聴けない。
 これはきっと天罰なのだ、してはいけない恋をしてしまった事に対する。
 零れ落ちる涙に反射して、雨が宝石のように輝いて見えた。





(忘れはしないよ)





H22.2.22