よくよく観察して、初めて分かった。それに、私服限定。
学校では絶対に見せない癖が、彼にはあるみたい。
彼に問いただすと、白を切られるかと思ったが意外や意外。ちょっと恥ずかしそうにして答えてくれた。
「萠くんって、服の袖噛む癖ある?」
「……うん。」
どうやら、服を噛むのではなく、ただ単に口が寂しいだけらしい。
学校では、口に指を当てて我慢していると言った。
「家ではどうしてるの? アメとかガムとか食べてるの?」
「っ……指……噛んでる。」
羞恥で顔を真っ赤に染める彼は大層可愛らしくて、もうこの瞬間にでも襲ってしまいたくなる。
それを我慢していると、気になる一言が聞こえた。
「お前と会うまではなかったんだけどなあ……あ、付き合う前までか。」
俺と付き合う前までなくて、付き合い始めてからという事は、切欠は一つしかない。
そんなに好きそうには見えなかったのに、人は見た目で判断してはいけないな、とこのとき心の底から理解した。
「ねえ、萠くん。俺原因分かっちゃったんだけど。どうする?」
「え、どうするって? チュッパくれんの?」
的外れな事を言う彼に少し気を抜かれながら、俺は彼に教えてあげた。
キスは百薬の長
(「キスすれば良いんだよ。」「な、嘘だろ?!」「キスが癖になってるんだって。」)
H22.1.29